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【クリニック監修】「頭皮がかゆい!」意外と辛い、頭皮のかゆみの原因と対策
「頭皮のかゆみが辛い・・・」そんな悩みはありませんか?頭皮は髪の毛が生え、育つ大事な大地のようなもの。健康な髪を保つなら、健康で「豊かな土壌=頭皮」であることが重要です。もし、頭皮にかゆみの症状を覚えたらそれは「頭皮トラブル」のサインかもしれません。皮膚科などの病院を受診した方がいいのでしょうか?つらい頭皮のかゆみの原因と対策について考えましょう。
このページの監修者のご紹介

医療法人社団ウェルエイジング
Dクリニック福岡(旧城西クリニック福岡)
チーフ(看護師) 大野 ふみ(おおの ふみ)
経歴
2005年に看護師として入職。看護業務に従事したあと、Dクリニック福岡(旧城西クリニック福岡)のチーフスタッフとしてクリニック運営にも携わるようになる。
看護師の知識と経験を活かし、正しい医療情報の提供と、患者さまに寄り添った温かみのある対応を心掛けている。クリニックスタッフと積極的に意見交換を行い、患者さまに居心地良く感じていただくための接遇や院内の雰囲気づくりに注力している。また、それぞれのスタッフが力を発揮できるよう育成にも力を入れている。
つらい頭皮のかゆみ、原因を知って今すぐ対策!
「かゆい!」でも、「かゆみ」って何?
「頭皮がかゆくて、ガマンできない・・・」
掻いても掻いても治らない強いかゆみは、意外とつらいもの。そして、頭皮のかゆみがそれほど強くなくても、「気がつけば頭を掻いている・・・」できれば、人からそんな風に思われたくはないものです。
実は、「かゆみ」のメカニズムはまだ完全には解明されていません。
しかし、「脂肪細胞」から出る「ヒスタミン」が知覚神経に作用して「かゆみ」が脳に伝わると同時に痒みの刺激は皮膚末梢にも伝えられます。この時に神経伝達物質の「神経ペプチド」が放出され、これが再び肥満細胞を刺激することでさらにヒスタミンが分泌されます。
「ちょっと掻いたら、どんどんかゆみが広がって、気がついたらあちこち掻いている。」そんな現象に心当たりのある方も多いのではないでしょうか。これは、かゆみが広がっていく「かゆみスパイラル」とでもいうべきこの現象によるものと考えられています。
皮膚の「新陳代謝=ターンオーバー」
そして、頭皮のかゆみと、他の部分のかゆみの症状とで違うのは「フケ」が出ること。
皮膚は、「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層に分かれています。
一番外側にある表皮は何層にも重なっていて、その一番内側にある「表皮細胞」と呼ばれる細胞によって、いわゆる「肌」が日々作られています。
表皮細胞は内側から外側に向かって積み重ねられ、1ヶ月ほどかかって一番外側の「角層」なった後、「垢」になって剥がれていきます。これがいわゆる「新陳代謝=ターンオーバー」と呼ばれる現象です。
頭皮をかくと出るもの・・・それは「フケ!」
頭皮も他の皮膚と同じように、約1ヶ月ほどでターンオーバーし、頭皮の場合は「フケ」と呼ばれるものになって剥がれ落ちていきます。
しかし、頭皮環境の悪化、トラブル発生によりかゆみの症状がある場合、このターンオーバーが乱れてフケが多く出てしまうことがあります。
そしてかゆみがガマンできず、掻いているとさらにかゆみの症状が増してしまう「かゆみスパイラル」に陥ることにもつながります。
それに加えて、出てくるフケや、頭を掻きむしる姿は、あまり人にいい印象を与えません。頭皮環境悪化の原因を知って、頭皮のかゆみ予防と対策に備えましょう。
頭皮環境の悪化について、詳しくはこちらの記事もお読みください。
「【クリニック監修】「赤い頭皮」「白い頭皮」健康な頭皮はどっち?」
「【クリニック監修】頭皮が痛い理由を知りたい!何のシグナルなの? 不安!!」
頭皮のかゆみを引き起こす5つの原因
頭皮のかゆみには、様々な原因があります。中には皮膚科など病院で治療すべき症状もあります。
ここでは頭皮のかゆみの原因になる主な例を5つあげてみましょう。
頭皮のかゆみの原因(1)皮脂が多い(脂漏性湿疹)
頭皮は体の皮膚の中で最も皮脂が多く分泌します。髪の毛があるため見た目ではわかりにくいため、イメージしにくいかもしれませんが、数日頭を洗わないと頭皮の皮脂で髪の毛がべっとりしてしまうのはご存知でしょうか。
髪がべとつくほどの皮脂が頭皮を覆ってしまうと、毛穴が詰まったり雑菌が繁殖したり、かゆみや炎症(脂漏性湿疹)などのトラブルの元になります。
あまりにも症状がひどい場合は、皮膚科などで適切な治療をうけましょう。
頭皮のかゆみの原因(2)乾燥している(ひこう性湿疹)
頭皮に皮脂が多いとはいえ、皮脂の量は人それぞれ。もともと皮脂の分泌量の少ない人も存在します。
皮脂はただ分泌するだけではなく、皮膚を守る働きもあります。その皮脂が少なくなると、皮膚は乾燥してしまい、これが頭皮のかゆみの元になります。
また、乾燥した肌は表皮のターンオーバーを早めて、大量のフケを出します。これが積み重なって雑菌が繁殖すると、炎症(ひこう性湿疹)を起こしてしまうことがあります。
皮脂は多すぎても少なすぎても頭皮に悪影響。症状が治らず悪化している場合は、皮膚科など病院を受診しましょう。
頭皮のかゆみの原因(3)汗や蒸れ、汚れ
帽子やニットキャップ、ヘルメットなどを常時被っていると、頭が汗を掻いて蒸れてしまうことはありませんか?汗や皮脂が出た状態で放っておくと、雑菌などの汚れが溜まって炎症を起こす原因になります。いわゆる汗疹と同じですが、頭皮の皮脂が加わり、臭いの元になることもあります。
特に汗をかきやすい夏季や、蒸し暑い職場では、頭皮の汚れに注意しましょう。
頭皮のかゆみの原因(4)紫外線
長時間強い日差しを浴びて日焼けをすると、しばらくしてかゆみの症状が出てきます。
夏の日焼けは健康的なイメージがありますが、実は日焼けは紫外線によるゆっくりとした“火傷”です。日焼けしすぎると皮膚が真っ赤になって水ぶくれができて皮膚が剥がれたりするのも、日焼けによる火傷のの一つです。
そこまでの日焼けでなくても、強い日差しを浴び続けていると頭皮も皮脂の酸化による毛根の萎縮や、髪の毛の隙間をぬって降り注ぐ紫外線によってダメージを受けてしまいます。ケアをせずにほおっておくと、日焼けによる炎症やかゆみ、皮膚が乾燥することによって、過剰なターンオーバーを起こす原因にもなり、注意が必要です。重度の日焼けは自己判断をせず、皮膚科など病院を受診してみるのもおすすめです。
(参照)
NEWS LETTER FROM ANGFA―「頭皮ケアのハナシ」 2009 年 3月(Vol.4)
中林皮膚科「日焼け」
頭皮のかゆみの原因(5)皮膚疾患(アトピー・乾癬など)
皮膚が乾燥し、バリア機能が弱くなって刺激を受けやすくなってしまう「アトピー性皮膚炎」。濃い赤い班が出て、その上に白いかさぶたのようなものができる「乾癬」なども、頭皮にかゆみを伴う疾患の一つです。
これらの皮膚疾患の原因はまだ解明できておらず、皮膚科の治療で完治させることは難しいと言われています。
頭皮のかゆみの原因(6)ストレス
ストレスによる自律神経の乱れは、過剰な皮脂分泌や血行不良など様々な症状を起こし、頭皮のかゆみの元になることがあります。
かゆみが起きると、それだけでストレスが増してしまいます。できればストレスによるかゆみが出る前に、ストレス自体をどうにかしたいものですよね。
頭皮のかゆみを放置すると「湿疹(炎症)」を起こすことも
前述のかゆみの原因は、放っておくとやがて悪化して「湿疹(炎症)」を起こすこともあります。
アトピー性皮膚炎や乾癬、そのほかの様々な原因による湿疹は、悪化させる前に適切な治療が求められる皮膚疾患です。「皮脂が多い」「乾燥している」「汗や汚れ」「日焼け」なども、初期症状のうち、あるいは症状が出る前に予防や対策を講じておいたほうが良いものです。
溜まった皮脂に常在菌が繁殖して起こる「脂漏性湿疹」や、過剰に出たフケに常在菌が繁殖して起こる「ひこう性湿疹」も、その良い例でしょう。
頭皮のかゆみは、掻いてしまうことで皮膚が刺激を受け、さらにかゆみが増します。掻き壊した所に雑菌が入って炎症を起こすと、処置は「かゆみ対策」ではなく「炎症対策」になります。当然、頭皮のかゆみよりも炎症の方が治癒にも時間がかかります。
頭皮のかゆみに気が付いたら、まず日頃のケアに気をつけ、悪化させないように心掛けましょう。
【頭皮のかゆみ対策】この原因にはこの対策!
頭皮のかゆみの原因としてまず挙げられる「脂漏性湿疹」と「ひこう性湿疹」。
もともと皮脂分泌が多い「オイリー肌」や逆に少ない「乾燥肌」など、体質によるものも考えられますが、適切な対策によって回避することもできます。
ここでは、それぞれの頭皮のかゆみ対策について詳しくご紹介します。
頭皮のかゆみ対策(1)「脂漏性湿疹」によるかゆみを防ぐなら
脂漏性湿疹は、皮脂量が多く、溜まった皮脂を餌に常在菌であるマラセチア菌などが異常繁殖して起きる“炎症“です。
脂漏性湿疹は、もともと皮脂が多いタイプに多く、頭皮の中でも皮脂の多い頭頂部からかゆみ、フケが出ます。
シャンプーは洗浄力のある物を選び、毎日きちんとシャンプーをしましょう。
できればシャワーだけではなく、お風呂にも入りたいもの。ゆっくりと湯船に浸かることで毛穴が開いて汗と一緒に毛穴の汚れを落とすこともできます。
シャンプーで皮脂を落とし、その後に使うコンディショナーやトリートメントのすすぎもしっかりと行いましょう。
普通は1日1回のシャンプーで充分です。皮脂が多くても、洗いすぎると乾燥から皮膚を守るために余計に皮脂が出る場合があります。
毎日きちんとお風呂に入り、シャンプーで皮脂と毛穴の汚れと一緒に1日の疲れやストレスも流してしまいましょう。
頭皮のかゆみ対策(2)「ひこう性湿疹」によるかゆみを防ぐなら
ひこう性湿疹は、皮脂が少なく乾燥してしまうことでおきます。皮脂が少ないために肌のバリアができず、刺激に弱くかゆみを感じやすくなり、かきむしってしまったり、剥がれ落ちたフケが溜まって雑菌が繁殖することが原因です。
もともと肌が弱い人や乾燥の強い人、老人性の乾燥肌の人などが洗浄力の強いシャンプーを使ったり、洗いすぎが続くことでひこう性湿疹を発症することもあります。
その場合は、低刺激のシャンプーを選んだり、保湿成分の配合されたシャンプー、トリートメントなどを選ぶようにしましょう。
頭皮をかゆみから守りたい。デイリーに使える頭皮ケアは?
頭皮ケア(1)シャンプー他ヘアケア、スタイリング剤を見直す
先の項にもありますが、肌質に合ったシャンプー選びは頭皮のかゆみ対策の基本です。
自分の肌質に合ったものを選んで、適切なケアをしていきましょう。
また、頭皮にかゆみや痛みがある時は、シャンプー以外のヘアケア製品、スタイリング剤なども低刺激なものがおすすめです。なるべく香りの強いものを避け、ナチュラルなスタイリングに切り替えてみるのも良いかもしれません。
頭皮ケア(2)外的な刺激を避ける(汗、汚れ、日焼けなど)
ニットキャップ、帽子、ヘルメットを長時間被っていると汗をかいたり蒸れたりと、かゆみの原因にもなり、頭皮にはあまりいいものではありません。日焼け防止のための帽子なども同様です。
乾燥、かゆみの元になる日焼け自体はあまりしたくないものですが、必要に応じて適度に通気を心がけるようにしましょう。
汗をかいたらマメにふき取るようにし、汗をかいていなくても1日の汚れを落とすシャンプーはしっかりとしましょう。
頭皮ケア(3)食生活を見直す
脂っこいものや、刺激の強いもの。ビタミンミネラルの欠けたバランスのよくない食生活は、そのままお肌と頭皮に影響します。
不摂生な生活や過剰なダイエットなどで食生活が乱れている方は、お肌、頭皮のターンオーバーを促すタンパク質、ビタミンミネラルを多く摂るよう心がけましょう。
頭皮ケア(4)生活全般を見直し、ストレスを回避する
頭皮もお肌の一部。肌ケアのための生活習慣は、頭皮ケアの習慣でもあります。
適度な飲酒、美味しい食事も一時的なストレス解消にはなりますが、度をすぎると、体調不良の原因にもなり得ます。
このところ、生活習慣が乱れていたという人は、食事・睡眠・運動をほどよくとり、できればストレスは減らして快適に過ごせるように工夫をしましょう。
それでも「頭皮がかゆい!」と思ったら、病院へ!
「たかが頭皮のかゆみ」と侮るなかれ。
頭皮のかゆみ対策としてヘアケアを見直し、生活を変えても治らないかゆみは、違う疾患が隠れている場合もあります。どうしても頭皮のかゆみが治らなければ、皮膚科や頭皮専門の医療機関を受診しましょう。
治療の必要な皮膚疾患の他、長期間使っているヘアケア用品が合っていないことで起きるアレルギーもその一例です。これらの疾患は医療の専門知識や診察経験のある医師、医療機関でないと処置できないことは多くあります。
自分でわからない、治せないかゆみは自己判断せずに、早めに皮膚科などを受診して適切な処置、指導を受けるようにしましょう。
<まとめ>頭皮のかゆみの原因と対策
頭皮のかゆみ。掻けば収まりそうな身近な症状ではありますが、放置していると、かゆみの先に皮膚炎や脱毛などを引き起こす場合もあります。
健康維持も、健康な頭皮や髪の毛の維持も、毎日の心がけと適切な処置から。
日頃の生活を見直し、シャンプーやヘアケアを見直し、それでも頭皮のかゆみが治らなければ、皮膚科などの医療機関で診てもらうようにしましょう。
Dクリニック福岡(旧城西クリニック福岡)のコラムには、他にも薄毛の原因、抜け毛の原因などをまとめた記事があります。
注:記事の内容は、効能効果または安全性を保証するものではありません。
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