公開日:
【クリニック監修】円形脱毛症は治る?予防できる?悩める女性のために解説!
円形脱毛症は、ある日突然ゴソッと髪の毛が抜ける脱毛症。何の前触れもなく抜けます。産後の女性が発症するケースもあります。近年の研究で自己免疫疾患が原因である説が有力になってきましたが、その発生の仕組みや遺伝とのかかわりなど、まだ分からないことがたくさんある脱毛症です。
このページの監修者のご紹介

医療法人社団ウェルエイジング
Dクリニック福岡(旧城西クリニック福岡)
チーフ(看護師) 大野 ふみ(おおの ふみ)
経歴
2005年に看護師として入職。看護業務に従事したあと、Dクリニック福岡(旧城西クリニック福岡)のチーフスタッフとしてクリニック運営にも携わるようになる。
看護師の知識と経験を活かし、正しい医療情報の提供と、患者さまに寄り添った温かみのある対応を心掛けている。クリニックスタッフと積極的に意見交換を行い、患者さまに居心地良く感じていただくための接遇や院内の雰囲気づくりに注力している。また、それぞれのスタッフが力を発揮できるよう育成にも力を入れている。
円形脱毛症と女性(1)円形脱毛症とは
円形脱毛症は、ある日突然、円形や楕円形に髪の毛が抜け落ちる脱毛症です。
女性の場合、髪型によっては、自分では気づかず、美容師や家族に指摘されることもあります。円形脱毛症を発症したことと、人から指摘される恥ずかしさで、強いショックを受ける人もいます。
脱毛斑は突然生じ、1個のこともあれば数個のこともあり、その大きさや個数はさまざまです。
軽度の場合、自然治癒することもあります。一旦は治っても再発する場合もありますが、重症化すると、髪の毛だけでなく、まゆ毛やまつ毛、その他全身の体毛に及ぶこともあります。
円形脱毛症の原因、有効な治療法など、円形脱毛症について細かく説明します。
円形脱毛症と女性(2)円形脱毛症の原因
自己免疫疾患
円形脱毛症は、かつて「ストレスが原因」と言われていましたが、近年では「自己免疫疾患」であるという説が有力です。
自己免疫疾患とは
私たちの体には、「自己免疫」と呼ばれるシステムがあります。
体内で発生した特定のがん細胞や体内に侵入してきた寄生虫などの異物を認識すると免疫系が働き、その異物を攻撃して、自己の組織を守ろうとします。
この、本来体を守るはずの自己免疫のシステムに異常が起こり、自己の組織を間違って異物と認識し、特定の部分を標的に攻撃する反応が「自己免疫疾患」です。
自己免疫の異常を原因とする疾患には、バセドウ病、関節リウマチ、Ⅰ型糖尿病などがあります。
なぜ、自分の体を守るはずの自己免疫システムに異常がおきるのか、という根本的な原因については、遺伝の可能性、ウイルス感染、組織の損傷などが言われていますが、その全容は明確には解明されていません。
「Tリンパ球」が毛根を異物と間違えて攻撃する
私たちの体には、異質なものを攻撃して、身体を正常な状態に保つ「免疫」と呼ばれる機能があります。
この免疫の中で中心的な役割を持っているのが「リンパ球」です。
「Tリンパ球(T細胞)」は、異常を起こした細胞を見つけて攻撃する働きがあり、がんや感染によって変化した細胞を見つけて攻撃します。
がん免疫治療などにおいて、主役級の働きをするのがこの「Tリンパ球」です。
「Tリンパ球」は、毛包内に存在する自己抗原に対して反応して攻撃、その結果毛根が傷んで健康な髪の毛でさえ突然抜け落ちてしまうのが、円形脱毛症だと考えられています。
しかし、なぜ毛包内の自己抗原を異物と勘違いするのか、という根本の原因までは解明されていません。
ただ、近年は「自己免疫反応を起こしやすい体質」が関係している可能性も指摘されています。
甲状腺疾患や膠原病など
膠原病や甲状腺疾患、関節リウマチなどは、自己免疫疾患に分類される疾患ですが、それらを発症している場合、円形脱毛症を併発することもあります。
甲状腺疾患や尋常性白斑、関節リウマチなどは、自己免疫疾患ですが、甲状腺疾患患者の8%、尋常性白斑患者の4%が円形脱毛症を併発しているとの報告もあります。
微熱や疲労感などの症状を伴うことが多いので、思い当たる場合は、医師に相談しましょう。
遺伝
円形脱毛症の発症には遺伝が関係していると言われます。
しかし、家族に円形脱毛症の人がいるから必ず発症する、というわけではなく、同じ遺伝子の一卵性双生児でも、1人円形脱毛症を発症しても、もう1人が発症しないということもあります。
円形脱毛症において、遺伝は無関係ではないとはいえ、遠因ではあっても直接原因ではなさそうです。遺伝的に発症する可能性は否定できませんが、あまり深く考えない方が良さそうです。
アトピー性皮膚炎
日本皮膚科学会の円形脱毛症診療ガイドライン2017年度版によると、
・円形脱毛症を発症している人の41%以上にアトピー素因(アトピー性疾患を持っている人)がある
・円形脱毛症を発症している人の54%以上に、本人もしくは家族にアトピー素因がある
・円形脱毛症を発症している人の約23%以上が、アトピー性皮膚炎を合併している
というデータもあります。
以上のことから、アトピー素因と円形脱毛症の間には、何らかの関係があるのではないかと考えられていますが、まだはっきりとしたことはわかっていません。
今後、さらに研究が進み、解明されることを期待しましょう。
(参照|日本皮膚科学会「円形脱毛症診療ガイドライン2017年度版」)
ストレス
以前は、円形脱毛症の発症の原因はストレスだと思われていました。
しかし、その後の研究により、ストレスは円形脱毛症の誘因ではあっても、直接の原因ではないと考えられています。
女性特有のきっかけ・妊娠出産時
女性の場合、産後に女性ホルモンの分泌量急激に減少することが円形脱毛症の原因のひとつとも考えられているようです。
妊娠中は、分泌される女性ホルモンの量が、通常より多くなります。しかし、出産を終えると通常の分泌量に戻ります。この時、女性ホルモンの分泌量は「激減」という言葉がピッタリするほど一気に減ります。
この急激なホルモン量の変化によって引き起こされるのが、「分娩後脱毛症(出産後脱毛症)」です。
産後の抜け毛の大半は、この分娩後脱毛症という一時的な症状ですが、同じタイミングで円形脱毛症を発症する人もいるようです。アトピー素因などが要因となり円形脱毛症を発症すると考えられているようですが、まだ明確な原因はわかっていません。
女性の円形脱毛症の種類
単発型
もっともよく見られるタイプで、10円玉~500円玉大の脱毛斑が発生します。発症年齢の幅が広く、男女比で見比べても特に違いはありません。
単発型の8割が1年以内に治癒するとも言われています。
多発型
10円玉~500円玉大の複数の脱毛斑が集まったタイプです。
形を変えたり、大きくなったりすることもあり、再発を繰り返すことが多いと言われています。
適切な治療を行っても、完治までに半年~2年程度かかることが多く、単発型の悪化から、多発型に移行する場合もあります。
全頭型
頭部の毛髪すべてが抜け落ちてしまうタイプ。治療が長期にわたるうえ、治りにくいため、治療だけでなく、かつらの着用なども視野に入れるほうが良いでしょう。
蛇行型
後頭部や側頭部などの生え際が帯状につながって脱毛するタイプです。
治療期間が長くなる場合があります。
汎発型
頭髪だけではなく、体毛・眉毛・まつ毛など、全身にわたり毛が抜け落ちるタイプです。
最も重度な円形脱毛症の症状で、治療は長期にわたります。
予防できる?女性の円形脱毛症
円形脱毛症は、ある日突然発症することが多い脱毛症です。気がつくような予兆はほとんどなく、予防というのは難しいかもしれません。
しかし、多少なりとも遺伝的要素や、アトピー性疾患との関係性はありえますので、家族内で発症した人がいる場合や、アトピー素因を持っている場合は、発症の可能性が高くなることを覚えておいてもいいかもしれません。
また、稀に爪がでこぼこしたり、粗くなったりするといった異常が発現して円形の脱毛が始まることもあると言われています。
心当たりのある場合は、少し頭髪のチェックをしてみましょう。
そんな時に強い味方になるのが美容師さん。
毎月通う美容室が決まっているような場合は、懇意にしている担当美容師さんに、もしもその気配を見つけたら教えてね、と一言お願いしておくと、心強いですね。
どんな治療が行われるの?女性の円形脱毛症
ステロイド局所注射
炎症抑制効果や免疫機能抑制効果のあるステロイドを脱毛斑に注射する治療で、単発型や多発型に対して行われます。
高い発毛効果がある反面、ステロイドの副作用リスクも考慮する必要があるため、成長過程にある子どもに対しては行われません。
また、注射した箇所にのみ発毛が見られるので、広範囲の治療には不向きです。
注射の際に強い痛みがあることと、副作用として注射部位が陥没する場合があります。
局所免疫療法
Tリンパ球は、もともと体内の異物を攻撃し、体を健康な状態に維持するために存在します。そのTリンパ球が、何らかの原因で毛根を攻撃対象として攻撃することで発症する、という円形脱毛症の発症メカニズムを利用して行われる治療です。
人工的に頭皮にかぶれなどの炎症を起こさせ、Tリンパ球の攻撃対象を「毛母細胞」から「炎症を起こした頭皮表面」に変えることで、免疫の正常反応を試みます。
比較的広範囲に脱毛している場合に対して行われ、6割以上の人に効果があると言われます。(個人差があります。)
しかし、もともとアトピー性皮膚炎や湿疹のある人は、一時的に症状が悪化することもありますので、注意が必要です。
有効性はある治療法ですが、保険適用外のため、自費診療となります。
直線偏光近赤外線照射療法(スーパーライザー療法)
スーパーライザーという装置を使用し、皮膚の奥まで届く特殊な赤外線を脱毛斑に照射する治療法です。
簡単に治療を受けることができ、痛みもなく、副作用も少ないため、単発型や多発型の円形脱毛症に使用されます。
光の波長が体の奥深くにまで達し、鎮痛・消炎・創傷治癒などの効果があります。
この治療は保険適用となります。
外用薬の使用
ステロイド外用薬
ステロイド外用療法は、炎症を抑え、抜け毛を防ぐことができます。
脱毛の面積がそれほど広くなく、なおかつ発症からあまり時間が経っていない場合に行われる一般的な治療です。
ミノキシジル外用薬
毛母細胞の働きを活性化し、髪の成長を促すことで発毛・育毛するミノキシジルは、AGA治療の現場ではよく使用されていますが、円形脱毛症の治療にも有効とされています。
ミノキシジルを使った円形脱毛症治療は保険適用外です。
女性用のミノキシジル外用薬も市販されていますが、円形脱毛症の治療にミノキシジル外用薬を使いたい場合は、医師の診察・指導を受けて使用した方が良いでしょう。
内服薬の使用
抗アレルギー剤やステロイド内服薬などが、飲み薬として処方されることがあります。
処方された薬は、指示通り用法用量を守ってきちんと服用しましょう。
女性の円形脱毛症の治療は気づいたら即!
円形脱毛症は放置されやすい脱毛症の1つです。
現に、円形脱毛症で最も多い「単発型」の大半は1年以内に完治します。
じきに治ると思ってしまうのも無理はありません。
だからといって貴女の円形脱毛症が放置して治るかどうかは分かりません。
もしかしたら、放置しておいては治らないかもしれません。
やはり円形脱毛症を見つけたら、早めに医師の診察を受けた方が良いでしょう。
行きやすいのは皮膚科だと思いますし、円形脱毛症の治療は皮膚科でも可能です。
それでも、敢えて「頭髪治療専門クリニック」をお勧めしたいと思います。
女性の円形脱毛症やその他頭髪のお悩みは、頭髪治療専門クリニック
円形脱毛症は皮膚科で治療できる疾患です。ではなぜ頭髪治療専門クリニックでの治療をお勧めするのでしょうか。
それは、頭髪専門クリニックには、このような特徴があるからです。
・待合室と会計、受付が男女別なので、異性の目が気になる心配がない
・頭髪治療に特化しているので、発毛に関する治療情報や経験が豊富
・頭髪治療の選択肢が多い
・円形脱毛症以外の脱毛症があった場合にも対応できる
頭髪治療専門クリニックは、頭皮や頭髪に悩みがある人のためのクリニックです。
1人だけ気恥ずかしい思いをすることもなければ、居心地の悪さを感じることもありません。
多くの頭髪治療専門クリニックでは、女性来院者に対して細かな配慮をしています。
当Dクリニック福岡(旧城西クリニック福岡)では、女性専用の待合室や動線を工夫することで、他の来院の方とできるだけ顔を合わせることのないように配慮しています。
どうぞ安心して、ご来院してください。
円形脱毛症に悩む女性はたくさんいても、「その人」に「どんな対策が必要か」は、それぞれ違います。
是非一度「貴女」には「どんな対策が必要か」をご自分で確かめてください。
まずは無料カウンセリングから。
今より少し勇気を出して、一歩踏み出すことで、今後の人生がうんと明るくなるはずです。
「Dクリニック福岡(旧城西クリニック福岡) 無料カウンセリングフォーム」
(まとめ)
円形脱毛症は、誰もが発症する可能性のある脱毛症です。
ある日突然髪の毛が抜け落ちるのは、非常にショックも大きいことでしょう。
しかし、ショックだからとへこんでばかりいては、日々が楽しくありません。
きちんと治療を続けながら、帽子やウィッグなどを上手に利用して、オシャレを楽しみませんか?
オシャレ心を忘れずに、円形脱毛症の改善が見られると良いですね。
円形脱毛症やそれ以外の薄毛についてのコラムも是非あわせてご覧ください。
注:記事の内容は、効能効果または安全性を保証するものではありません。
サイトの情報を利用し判断・行動する場合は、医師や薬剤師等のしかるべき資格を有する専門家にご相談し、ご自身の責任の上で行ってください。